談話室『和太刀』

~立ち廻りから得られる身体のお得情報!~

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『雑!!演殺陣人達(ざっつ!!えんたてめんつ)』 33:無口な出会い

『雑!!演殺陣人達(ざっつ!!えんたてめんつ)』

 このコーナーは、和太刀主宰者・清水大輔の子役から始まり、
殺陣師になり、現在に至るまでに出会った人や出来事をかき集めて
バラバラに(思いつくままに)脱ぎ散らかしたエッセイ風の独白文です。





33:無口な出会い
前回まで、ある温泉地での激闘(?)ぶりを話させて頂いたのであるが(雑!!演殺陣人達31、32の2回)、
今回は立ち廻りとは直接関係無いのであるが、やはりその温泉地で私が出会った人・・・
イヤ、人以外のモノについて話そうと思う。

立ち廻りのショー自体は、お客様が夕食を召し上がっている席上での事となっていたから、
基本的に仕事は夕方からという事になる。
(一日最大で5回のショーというのも、つまるところ夕食時の1~2時間の中での事で、だからこそ時間内にホテル内を駆けずり回るのに一苦労だったとも言える。)
で、昼からはリハーサルに充てていたのだが、午前いっぱいは特にやる事もないわけだ。
私は普段は決してアクティブに動きまわる方ではないのだが、
そこはせっかく風景は絶好の山の中に来ているわけだからと、柄にもなく早朝散歩を日課にし始めていた。
しつこい様だが、普段都内にいる時に、交通量の多い道を早朝散歩する程健康オタクでもない。
ベタな言い方だが、「あー!!空気がおいしくて気持ちいい!!」というやつである。
仲間はまだホテルの部屋で気持ち良さそうに寝ている時間、
一人だけ山道を散歩するというのも又優越感に浸れたという事かもしれない。

で、ある朝、いつもの様に山道をてくてくと登っていた時の事。
(道にはまだ人影すらもない。たまにこれから畑仕事にでも行くのかという農家の方とすれ違うくらいのものであった。)
遠くの方で(50メートル位であろうか)、草むらの影がゴソゴソと揺れるのが見えた。
「ハテ?」と思ったが特に何も感じずに歩を進めていた。
すると次の瞬間、真っ黒い固まりのようなものが道路を横切るのが見えた。
「あ・・・・・・あれ?・・・まさか・・・クマ?クマだなあ・・・・・・ハハハ・・・クマだ。」
人間とんでもないものに遭遇すると、すぐに頭の整理がつかないらしく、
私のリアクションはそんなのんびりしたものだった。
だがさすがに足の方はピタリと止まり、しばらくそこに立ちつくした。
まさかそんなという思いと、イヤ、山の中なんだからクマがいても不思議ではないじゃないか、
という思いが交わった。
 少し時間がたつと、やっぱり今見た映像は間違いなくクマだったと思い、
冷や汗のようなものが湧き出てきた。
「ヤベエ・・・ありゃクマだよ。」
慌てて引き返そうとすると、私が歩いてきた方向から農家のおじさんが一人歩いてきた。
 私は少し駆け足になり、そのおじさんに近付いて、
「あ、あの~、お、おはようございます。」
と声をかけた。おじさんは私の怪訝な様子を見て足を止めたが、
「あ~、おはよう。」
と返事をしてくれた。
そのまま通り過ぎようとするおじさんに、
「あ、あのう、ちょっとお聞きしますが、実は・・・。」
と今見たものの説明をした。で、
「エ~ッと、つまり、クマっぽかったんですけど、こんなホテルが建っている近くでクマなんて出ますかね。」
と言うと、おじさんは全く顔色を変えずに、
「あー、そりゃあクマだなあ。」
と言った。
 や、やっぱり!と思ったのだが、私は一歩間違えたら(つまりホテルを後2、3分早く出ていたら)、バッタリとクマに出会って襲われていたかもしれないという事実を認めたくなかったのか、
「で、でも・・・もし出会っても、襲うなんて事は無いですよね。」
と言ってみた。
「バカ言っちゃあならねえよ。クマなんだからさ。そりゃあ、やられちゃうよ。そうか、出たか。
んじゃあ通るのはもう少し後にすっかな。」
と、おじさんが元の道に向かって引き返そうとしたので、
「あ、ボクも戻ります。」
と、『怖いから一人にしないで下さい。』というオーラ満載で、おじさんについて私も道を引き返した。
 道すがら、
「イヤ、でもクマに出会うなんて・・・珍しいですよね、きっと。地元の方でもそんなに無いんでしょ?」
と聞くと、
「そうだなあ。あんちゃん(私)みたいに観光で来て出会うのは珍しいなあ。
まあ、去年は3人くらいやられただけだから、最近はクマも少なくなったんだが・・・。」
と、おじさんは衝撃の発表をした。詳しく聞くと、死亡者はいなかったらしいが、
昨年クマに襲われた人は3人いたという事だった。
「そりゃあクマだって怖いからそうするのさ。ここら辺だって元々はやつらの住みかだったんだから。」
とおじさん。それはごもっとも。
 でも、だったら『クマ出没注意!』みたいな看板でも立てておいてくれぇ~!!


ざっつえんたイラスト33



[ 2013/07/01 00:00 ] ざっつえんた | TB(-) | CM(-)

『雑!!演殺陣人達(ざっつ!!えんたてめんつ)』 32:平家琵琶のH先生の事

『雑!!演殺陣人達(ざっつ!!えんたてめんつ)』

 このコーナーは、和太刀主宰者・清水大輔の子役から始まり、
殺陣師になり、現在に至るまでに出会った人や出来事をかき集めて
バラバラに(思いつくままに)脱ぎ散らかしたエッセイ風の独白文です。






32:平家琵琶のH先生の事


前回(雑!!演殺陣人達31)の続き。



数々の試練を乗り越えて、やがて地域全体のイベントで立ち廻りをやる事になった私達。
地域全体のイベントとは、『平家の里』と呼ばれる、平家の落人(おちうど)達が住んでいたと言われている古い集落の中で、あの有名な『平敦盛(たいらのあつもり)と熊谷直実(くまがいなおざね)』の一対一の対決を中心に立ち廻りのショーを行うというものだった。

しかも、立ち廻りのバック・ミュージックとして、今度はCDラジカセから聞こえてくる音楽ではなく、本物の平家琵琶の伴奏付きであった。
この平家琵琶の伴奏をして下さった先生は地元の方ではなく、私達と同じく東京の方、しかも私の住んでいる場所から電車で10分程の所にある駅の近くに住んでいらしたので少々驚いた。



本番まで一ヶ月間、一度東京に戻り、中身の稽古をする事になったので、稽古に入る前に一度琵琶の先生と打ち合わせをしようと、先生のお宅にお邪魔をした。

このH先生はその世界の第一人者。とても和やかな女性でいながら、
和やかさ中にピリッとした厳しさを感じさせる方だった。

打ち合わせに入ろうとした時、先生が驚きの言葉を発せられた。

「合わせ稽古なんかしなくても良いから。当日はあなた達がお好きなようにおやりなさい。私はそれを眺めながら『敦盛』のくだりをやらせて頂くわ。」

と。つまりアドリブ的なもので良いとおっしゃるのだ。

「イヤ、しかし先生、私達の立ち廻りが何分くらいで終わるのか、おわかりにならない状態で大丈夫なんでしょうか。」

と、私。しかしH先生は、

「大丈夫。何とかなるわよ。あなた達を私の演奏に縛りつけたくないのよ。でも当日はお互いに、熊谷直実と平敦盛のためにやるのよ。それから平家の落人の霊魂のためにね。そうすれば最後は自然と合うものよ。」

と、落ち着き払っておっしゃった。

 そんなものかと思ったが、本当に大丈夫なんだろうかという一抹の不安はぬぐい去れなかったが、先生の説得力のあるお言葉に甘え、とにかくそこから一カ月は好きに、そして必死に作品づくりに取りかかった。



そして一カ月後、イベント当日。

私達がショーを行う特設ステージの前には、その地域の村人を中心にしたお客様が5~600人。
何と村人の方々全員が、甲冑に兜(かぶと)までかぶり、まさに平家の武者のような姿で茣蓙(ござ)の上にドッカリと腰をおろしていた。

 その圧巻の光景は、自然と私達を高揚させた。H先生は私達の立ち廻りをやるスペースの片隅に座布団を一枚敷き、落ち着いた様子で琵琶を構えていた。いよいよ本番開始。

 ショーはまず私達メンバー10人により、源平合戦をイメージした乱戦で幕を上げた。それに合わせ、H先生が琵琶をかき鳴らした。

 あたりの空気は自然と緊張感に包まれた。

 そして…。いよいよ私の出番となった。私が演ずるは何を隠そう熊谷直実。平敦盛は後輩の女の子がつとめた。先に敦盛が舞台上に出て、それを追いかける形で舞台に出た私。進行はここから有名な直実・敦盛の対決(少年武者・平敦盛の顔を戦いの中で見た直実は、自分の息子に背格好が似ている敦盛を見て衝撃を受け、躊躇するが、やがて追い付く他の武者に少年の首を斬らせるくらいならば、せめて自分がと迷いの挙句に敦盛を斬る。そしてこれをキッカケに仏門に入る。)にのっとり進んでいく。

 すると私達の動作に合わせ、初見なのにまるで稽古を見ていて下さった様にH先生が琵琶を演奏し、謡い(うたい)を付けて下さった。これには本番中にも関わらず、「何という方だろう…。スゴイ…。」と感嘆せざるを得なかったが、一番驚いたのはラストシーン。

 私演ずる直実が敦盛の首を斬り、仏門に下るという所。表現として、敦盛が斬られた瞬間、布を使って敦盛の姿を消し、今度は消えた敦盛の代わりに死んだ直実の息子が目の前に現れジッと直実を見るという手法を使った。そして直実は静かに合掌し、最終的に鎧を脱ぎ捨てる所作をしつつ引き上げていくという所。

 このクライマックスを実際平氏の落人の子孫の方々(この村にはそういう方がいらっしゃった)の前で演ずるというのは、出し物が決まった段階から私自身相当悩み苦しんだ事であった。

 こんな若造(当時私は28歳)が、直実の苦しみ等演じて大丈夫だろうかと思っていたからだ。

 最後に奥に引き上げていこうとする両足が震えて歩く事もままならなくなっていた。
(鎧が50kgあり、それで激しい立ち廻りをしていたせいもあるのだろうが…。)すると私のままならぬ歩調に合わせ、H先生が『武蔵の国の住人~。熊谷直実~。』と声を出して下さったのだ。その声に後押しされるように何とかハケる事が出来た。

ざっつえんたイラスト32

 会場は有難い事に「ワッ!!」という歓声と拍手に包まれた。ショーは大成功だった。
終わってからH先生に、「有難うございます!先生が謡いをはめて下さったおかげで何とかハケる事が…。」

と、御礼を言うと、

「何言ってんの、違うわよ。私は順番通りにやっただけ。だから言ったでしょ。直実や敦盛の事を思ってやれば、ピッタリ合うはずだって、」

とおっしゃった。

 私は「この人には到底及ばないなあ。」と心の中でもう一度深く頭を下げた。

 

[ 2013/06/03 00:00 ] ざっつえんた | TB(-) | CM(-)
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