談話室『和太刀』

~立ち廻りから得られる身体のお得情報!~

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第108回 「定説がひっくり返る瞬間でござる!!」 の巻

ガラシャさん
ガラシャ1
「前回は寺に残された絵などの資料の中に男性兵士に混ざって女性兵士もちゃんといたらしいというお話から、日本の『弓』を引く時の大変さにまで話が及びましたけど…。」


ツルギくん
ツルギ1
「現代の和弓(わきゅう)の大会優勝者が飛距離二百数十メートルに対して、明治以前に残された記録では、
確か432メートルも飛ばした人がいたとかで、これには本当に驚かされましたよ。」


センセエ
センセエ2
「多分、弓が頻繁に使われていた源平の合戦時代や戦国時代ともなれば、もっとスゴイ人達もたくさんいたと思うんだけどね。」

ガラシャ2
「男女に関係なく、筋力によるパワーではない、『身体の使い方』に秘密があるというお話でしたよね。」


センセエ2
「ウン、そうだね。そこら辺の話をすると『昔の記録だからこれは誇張されたものだろう。』だとか言って、昔の人をウソつき呼ばわりする人もいるんだけど、ボクはそうは思わない。『人間の身体の可能性』ってそんなものじゃないというのもそうだけど、大体それまでは常識的だと信じられる事が、ある日の発見を境に、簡単に覆るみたいな事ってよくある話じゃない?
だからね、今常識だと信じられているものを全て受動的に信じる事というのはどうもネ。」

ツルギ1
「ああ、なんかわかります。ボクは近年恐竜が重い尾を持ち上げて上半身と絶妙のバランスをとりながら、かなり高速で移動していたなんて話を聞いてショックだったなあ。
だって小さい頃は『ウルトラマンに出てくる怪獣』みたいに、重い尻尾をズルズルと引きずって、ズシン、ズシンと歩いていたと思っていたから…。」


ガラシャ2
「バカねえ。あんなに歩くの遅くちゃ獲物を捕獲するなんて無理よ。
ああいう怪獣モノのズシンズシンとスローテンポで歩くっていうのは、『デカさ』を強調するための表現なんだから。」


セ 「ハハハハ(笑)。でもわかるなあ、ツルギ君の気持ち。ボクもウルトラマン世代だったからね。ハリウッド映画のジュラシックパークみたいな速く走る恐竜を見た時はホントにビックリした。
でもそんなコト言っていたら最近じゃ『やっぱり恐竜と鳥類の起源はリンクしていた。』なんて話…。つまり恐竜には羽毛が生えていたなんて話まで出てきているからね。」

ツルギ2
「ギャ~!! ホントですかそれ!?」



談話イラスト106



ガラシャ1
「アラ? 知らなかったの、ツルギ君。そうよ、もう二十何種類もの羽毛の痕跡がある化石が中国とかから出てきているって。」


ツルギ2「わ、わぁ~。何か気持ち悪い。恐竜に羽毛って…。」

センセエ2
「まあ、でも考えたら骨格から体型はわかるけど、肌の色や質なんて誰も見た事がなかったわけだしね。
骨格がトカゲの様だからって、肌質までがそうだったなんて誰にもわからないよね。」

ガラシャ1
「ああ……。ツルギ君のせいで話がどんどん恐竜になっていく…。
エ~ッと、センセエ的には何かそういう常識が覆された様な、歴史に関する事って他にありますか?」


センセエ2
「ウ~ン、そうだなあ。例えば戦国時代のなんかでいうと、やっぱり織田信長に関するコトなんかかなあ。」

ガラシャ1
「ああ、前にそんなお話出ましたよね。信長がドクロ酒を飲んでいたというのがウソで、実際は敵将のドクロに漆(うるし)を塗っておいて、その前で舞うとかいう行為があって、それは『立川流』という密教からきた供養であるとか。」


センセイ「さすがガラシャさん。よく覚えているね。それも確かにそうなんだけど、もう少し大きな事で言ったら、例えば桶狭間(おけはざま)の合戦なんかの話かな。」

ツルギ1
「出たあ! 『桶狭間』ってもう聞いただけで格好いい!!
桶狭間において、敵の今川義元の本陣を高みから見た信長は一気に攻め下って、奇襲戦法で義元軍を打ち破ったという…。
カァ~ッ!! 少ない人数で大軍を滅ぼした見本みたいなもんですよね。」


ガラシャ1
「き、急に元気になりおった、コイツ…。」


センセエ2
「あ、イヤ、悪いんだけど、ツルギ君。そこにこそまやかしがあってねぇ。
密かに太子ヶ根(たいしがね)という高地に登った信長が敵の本陣めがけて攻め下ったという『迂回してからの奇襲』というのは、1899年に陸軍参謀本部が編集した『日本戦史桶狭間』というのが定着させてしまったものなんだよ。
以来80年間、何の疑いもなくこの説が信じられて、定説のようになってしまっていたという。」

ツルギ2
「エ~!? そんなあ!! じゃあ、信長はいったいどこから攻めたのが正解なんですかあ!?」


センセイ
「まあまあ。慌てない慌てない(笑)。
で、この『日本戦史』に描かれている信長が義元本陣を見下していた“太子ヶ根”という場所なんだけどね、第一これすら『日本戦史』が見本にしたと思われる江戸時代初期の小瀬捕庵(おぜほあん)という儒学者が書いた『信長記』には載っていないんだ。」

ガラシャ2
「あ、じゃあその小瀬捕庵の『信長記』というのが奇襲戦法のモデル…というか。」


センセエ2
「そう、確かに信長記には迂回奇襲説のような事は書いてあるらしいんだけどね。
で、1982年に藤本正行(ふじもとまさゆき)さんという人が迂回も奇襲も無かったという事をおっしゃったんだけど。」

ガラシャ1「藤本さんがそれを否定した根拠というのは?」

センセエ2
「うん、それは『信長公記(しんちょうこうき)』という史料なんだけどね。」

ツルギ1
「『信長記』と『信長公記』……。う~ん、何か似たような。」


センセエ2「でも信長公記の方は太田牛市(おおたぎゅういち)という、信長の側近が書いたものだから資料としては…。」

ガラシャ1
「ああ、一番信用出来るというワケですね。で、センセエ、攻め下ったのでなければ、信長はどう攻め込んだかは書いてあるんですか?」


センセイ
「うん、それによれば、信長は迂回等せずに、真正面から突破したとされている。」

ツルギ1
「エ~!! ……ニンマリ(信長のイメージが崩れるどころか、むしろアップしたという笑み)。」









                つづく     ツルギ3
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[ 2012/11/04 00:00 ] 談話 | TB(-) | CM(-)
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