談話室『和太刀』

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第84回 「悲運の天才の火牛(かぎゅう)戦法でござる!!」 の巻

ガラシャ1
ガラシャさん
「前回は最終的には巴の夫(世話係とも言われている)である木曽義仲(きそのよしなか)のお話で終わったんですが…。」



ツルギくん
ツルギ2
「だけど武骨な正直者すぎて政治力が無かったという…。難しいですよね、強いだけじゃダメなんて…。」



センセエ
センセエ2
「そうだね。義仲も政治力が全く無かった訳じゃないんだけどね。やっぱり頼朝なんかと対立してしまうとね…。
頼朝があくまで源氏としての嫡流、義仲は傍流というレッテルが世間にも、後白河法皇なんかにも広まってしまうと、いくら戦さで連戦連勝しても立場が無くなってくるというさ…。」



ガラシャ1
「それは厳しいですよね。一時は十万という大軍を率いた平家軍を打ち破ったわけでしょ。」



センセエ2
「倶利伽羅(くりから)の戦いだね。そうだよ、その後も連戦連勝だったんだ。
寿永(じゅえん)2年(1183年)7月27日には平家一門を都落ちさせて、翌日には意気揚々と入洛したとなっているからね。まさに絶頂期!!」



ガラシャ1
「でも後白河法皇がひそかに頼朝に『義仲を討て。』と言うんですよね。
で、それを聞いて義仲は怒ってクーデターを起こすんだけど、何か一層孤立化しちゃったっていうか。」




ツルギ2
「なんか気の毒だなあ。」



センセイ
「そう。気の毒なんだよ。だって頼朝が攻めてくるっていうんで、西国で盛り返し始めた平家方との和議まで計ったんだから。
でも既に遅かったわけだけどね。」



ツルギ2
「気の毒を越えてみじめだなあ。でも戦さの才能が天才的だったわけでしょ? だったらどうにかならなかったんですかね?」



センセイ
「イヤ、原因の一つとしてはやっぱり義仲をもってしても予想外の天才がそこに出現したわけだよね。」



ガラシャ1
「あ、その天才って、あの…。」



センセエ2
「そう。源義経だよね(頼朝の命を受けた関東軍、範頼《のりより》との連合軍)。 
義仲も応戦のため兵を派遣するんだけどね、義経軍の進撃のスピードが予想をはるかに上回ったんだよね。」



ツルギ1
「うわあ。やっぱり義経って天才だったんだなあ。」



センセエ2
「うん。義仲だって奇襲戦法にかけては天才だったんだけどね。先程話に出てきた倶利伽羅(くりから)の戦いの時などは、『田単火牛』という奇襲で平家方を滅ぼしたんだから。」



ツルギ1
「な、なんですか、その田単火牛って。」



センセエ2
「牛の角に松明を結んで、数百頭を敵陣に追い入れてパニックに陥れると言うね。」


  談話イラスト82




ツルギ1
「ウオオ~!! スッゲエ。義仲のオリジナルなんですか? その戦法。」



センセエ2
「イヤ、昔(紀元前284年)、中国に田単という男がいてね、斉の国の人なんだけども。この人が燕の将軍が攻めてきた時に行った戦法なんだよ。」



ツルギ1
「ああ、だから『田単火牛』なわけですね。」



センセイ
「そう。まあ実際のオリジナル田単が行ったやり方は牛の角に短剣をくくりつけ、尾に松明(葦をくくりつけて火をつけた)をつけて千頭を敵陣に追い入れたらしいんだけど。」



ツルギ1
「こりゃあまたスゲエ。」



センセエ2
「つまり『勢い』という意味ではものすごくあった人だったんだけどね、義仲って。
木曽の山の中から突如として現れて平家軍を破っていった将軍として、人々から朝日が昇るが如き、『朝日(旭)将軍』って呼ばれたくらいだから。」



ツルギ1
「朝日将軍!! カッコイイ!!」




ガラシャ1
「でもあまり一時的に勢いを持ちすぎると、何か一つつまずいた時に対処出来ないんじゃないかな。」



センセエ2
「そうだねえ。つまずいた石が天下の『源義経・頼朝』の兄弟だったと思うと運の無い人だよなあ。」



ガラシャ1
「それに義経がその後に兄の頼朝から追われる事を考えると、何か悲しい運命の二人ですよね。」




ツルギ1
「いいんじゃないかな、そういうのって。男はパッと咲いてパッと散る。カッコイイよね、桜の花の美学!!」




ガラシャ2
「じゃあ今死ね……。」




ツルギ2
「………。」



センセエ2
「義仲という人は、頼朝から疎まれた叔父の新宮行家(しんぐうゆきいえ)や志田義広(しだのよしひろ)などを自軍に迎える等、情に厚いところがあってね、一方で肉親に対しても情が薄いと言わざるを得ないのが頼朝だから、そういう意味では純朴な人というか、人気が高いのもこの辺りが原因しているよね。」



ガラシャ2
「いやだあ、益々ホレちゃう!! 気の優しい暴れん坊で美男(イケメン)だったなんてェ。」




ツルギ2
「ボクはもう何も言わないっす。」









                    つづく    ツルギ4
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[ 2012/04/25 00:00 ] 談話 | TB(-) | CM(-)
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