談話室『和太刀』

~立ち廻りから得られる身体のお得情報!~

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『雑!! 演殺陣人達(ざっつ!! えんたてめんつ)』 ⑭子送り狼

『雑!!演殺陣人達(ざっつ!!えんたてめんつ)』

 このコーナーは、和太刀主宰者・清水大輔の子役から始まり、
殺陣師になり、現在に至るまでに出会った人や出来事をかき集めて
バラバラに(思いつくままに)脱ぎ散らかしたエッセイ風の独白文です。





⑭子送り狼

私がまだ子役の頃の、今から36、7年前の話。

 小田急線の読売ランド駅の方向、それも山の上と言っても差し支えない様なところに『生田(いくた)スタジオ』という日本テレビさん所有の撮影スタジオがある。
確か私が大学生くらいの時に改築されて新しくなった記憶がある。だがこれはまだ改築前のお話。


 基本的に私は子役の頃、撮影場所に両親についてきてもらった記憶は無い。
私自身がテレくさかったせいもあるのだろうが、母親が、「何でも一人で出来るように。」と東映の児童研究所に私を放り込むようにして入れたものだから、カワイイかカワイクナイかはさておき、「我が子には旅をさせる。」という事だったのかもしれない。

 おかげで10歳にも満たなかったとはいえ、たいてい都内のロケ地ならどこでも迷わず行けるようになっていた。

 
 この生田スタジオも、小田急線の山の奥(?)とはいえ、駅に着いてからは地図を見ればどうにかなると思っていた。
だが、イザ行ってみると(今はどうかわかりませぬが)当時はとても閑散としていて、田舎の方の無人駅とまでは言わないが、まわりは緑の山だらけだった(それとも子供の私からそう見えたのか、それはわからない)。
とりあえず人に聞こうにも、そんなに道に人も歩いていないようなので、駅に止まっていたタクシーをつかまえた(ロケ地が遠い時だけ、タクシー代くらいは親が持たせてくれていた)。

「生田スタジオまでいいですか?」
「はいよ。生田スタジオね、OK。」

オウム返しにイキのいい返事をしてくれた運転手さんの一言で私はホッとした。


運転手「何だい、ボク。役者さんかい? それにしても一人でこんな所まで…。エライねえ。」

私「ハイ、慣れっこですから(多少得意気な私)。」

こんな会話をしながら山中の舗装された道路をしばらく行くと、タクシーが止まった。
目の前に現れたのはとても大きな建物だった(それとも子供の私の目にはそう写ったのだろうか)。

ここで少し私は困惑した。母親が「何だか山の上の方にある小さなスタジオだってよ。」と、家を出る前に言っていたからだ。しかし、目の前にあるのは比較的大きなスタジオ…。

 とりあえず中に入ってみる事にした。小さいスタジオだと聞いていたのに、いくつも部屋があり、様々な番組(もしくは映画?)を撮影している様子だった。
しかし、お目当ての番組の撮影が行われている様子などこれっぽっちも無い。
私はこの日、子供向けヒーロー番組の撮影に来たのであるが、そんなスタジオはどこにも見当たらなかった。

 約束の集合時間までもうあとわずか。内心もう泣きそうになりながらウロウロとする怪しい子供。

すると、

「ボク、どうかしたのかい?」

と一人の男性、イヤ、正確には一人のサムライの格好をした男性が声をかけてきてくれた。
どこかのスタジオで時代劇も撮影しているらしい。


  ざっつえんたイラスト14




「あの…え…と……生田スタジオと言われて来たんだけど…どこにもなくて…えっと、ここはそうなんだけど、番組がなくて。」

と半ば意味の分からない口調でもごもごと私は言うと、そのお侍は、

「よし、わかった、多分ね。」
と言い、

「オオイ! 誰かこの子を上のスタジオまで車で届けてやってくれぃ!」
と大声で怒鳴った。

 ん!? 上のスタジオ?

 後にわかった事だが、生田スタジオは場所が違う所にもう一つあり、メインの大きなスタジオはその時私がいた所で、その日の私の行くべき所は、そこからまたしばらく山の上の方に登った場所らしい。
(例えば、第1スタジオ、第2スタジオの様なもの…だと思う)

 そのお侍さんのおかげで、上のスタジオに車で送ってもらい、私は10分程の遅刻で着いて事なきを得た。

結局撮影自体は午前11時くらいから、夕方6時くらいまでたっぷりとかかり、帰りは駅までスタッフの方に送られた。

家に帰ってから、私は詳しく説明してくれなかった母親に文句を言った。                  

「だって私だってそんな事わからないもん。」
と母親は言った。それはそうか…。

「それにしても、アンタを助けてくれたお侍さんの俳優さん、いい人だねえ。」

「うん。優しそうな人だったけど、多分売れてない人なんじゃない? 誰だかわからないけど。」
と恩人に対して失礼な私。

 すると、その時テレビ画面に見た事のある顔が映った。
見た事があるというか、今日見たばかりと言うか…。

「あ、この人だよ。今日スタッフさんに言って車を出してくれた人!」
と私は叫んだ。
そう、今朝がた私に声をかけてくれた侍(多分)が画面の中で刀を持って格好良く構えていたのだ。

「エ…!? ウソ!! だってこの人売れてないって……オマエ!!」


テレビに映っていたのは、何とあの萬屋錦之介(よろずやきんのすけ)さんだったのだ。



今思うと、全くとんでもない話だが、子供だった私に萬屋さんの偉大さがわかるはずもない。

無言で食事をしていた父親の箸が落ちた。


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[ 2012/04/15 00:00 ] ざっつえんた | TB(-) | CM(-)
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