談話室『和太刀』

~立ち廻りから得られる身体のお得情報!~

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第5回 「スポーツの世界に見る“秘伝”でござる」の巻

センセエ2「計る能力、感じる能力が大切なのは僕達だけじゃあない。

センセエ   先程話に出たスポーツ選手達にとっても計る事、感知する事は、
        筋肉を使ったパワーよりも、もっと大切なものだからね。」

ガラシャ1 「エ!?そうなんですか?
ガラシャさん   ……ああ、フィギュアスケートとかはやっぱり演じるものですからね。」


センセエ2 「野球だってそうだよ。」

ガラシャ1 「野球も!?」

センセイ 「いやいや、野球が演じるスポーツかっていう事ではないんだよ。
        計る事や感知するという事において大切という意味でね。」

ツルギ1 「例えばバッターだったら、
ツルギくん   相手のピッチャーの次に投げる球を予測したり、
        精神状態を見たり、クセを見抜いたりみたいな……。」


センセエ2 「ああ…。でもそれは例え身体に力が入っていても出来得る事だし、
        あくまで予測的な話だから。

        そうじゃなくて、むしろ実際にバットを振ってボールに当てる時に
        必要な事として言った方が良いよね。

        例えば、プロのピッチャーが投げた球って皆さん御存知の様に、
        時速140~150km位ある訳じゃない。
        最近では160km近く投げる人もいるよね。

        で、そんなスゴいスピードでマウンドから
        キャッチャーまでのわずか18mの距離を、
        小さなボールが飛んでくるわけ。

        一方、バットっていうのは手で握ったものを振るだけで、
        それを打ち返さなければならないわけ。
        これって、ものスゴいハンディだと思わない?

        そんな加速のついた球って素人にはほとんど見えないし、
        見えた所で腰が引けちゃうか、
        打とうと思ったら既にキャッチャーミットに球が入ってしまっているとか。」

ガラシャ2 「テレビでお笑い芸人さんなんかが、
        そんな風になっているのを見た事あります。
        あまりの威力に後ろにのけ反って倒れちゃったりとか。
        慣れてきてバットを振るようになっても、
        ボールとバットがもの凄く離れて空振るとか。」


ツルギ1 「あと完全な振り遅れとかね。
        で、奇跡的にバットに当たっても
        ボールが前に飛ばないとか、外野まで届かないとかね。」


センセエ2 「だろ。当てられただけでも大したものなんだけどね。

        そしてバットに当てる場所は、
        やっぱり芯の部分かそれに近い部分でないと打ち返すのは難しい訳だ。」

ツルギ1 「剣の世界で言うと、刀の【物打ち】と言われる場所で
        斬ったりする様な事ですね。」


センセイ 「そう、道具っていうのはほとんどがそう出来ている。

        ここで斬るとベストですよ とか、
        ここに当てると威力が出ますよ とかいったポイントがね。

        もちろん剣というのは基本刃物な訳だから、
        別に【物打ち】じゃなくても斬れるには違いないんだし、
        バットだって芯の部分でなくても当てたらボールは飛ぶんだけど、

        『より斬れる。より遠くへ飛ぶ』という
        ベスト・ポイントというものがある訳だ。」

ガラシャ1 「はい、それはわかります。」

センセイ 「でも現実にはなかなかそう上手くはいかないわけ。

        何しろ相手は時速150km近いスピード・ボールで、
        更に変化球やチェンジアップ、ストライクとボールの
        コースの見分け等の要素が絡んできたら本当に至難の業だよね。

        剣だってそう。
        昔のサムライ同志の真剣勝負においては、
        相手だってじっと止まっている訳じゃあない…。

        それどころか自分と同じ様に刃物で自分を傷付けようと動いてくる訳で、
        その変化する生きた目標物に必ず刀のココで斬るなんていうのは、
        よほど腕に差があったりしないと不可能に近いんだよ。」

談話イラスト3

ツルギ1 「でもセンセエ、野球の場合はまだ空振ったとしても
        死ぬ様な事は無いし、次のチャンスを待てば良いですけど、
        サムライの真剣勝負の場合は空振ったら
        死ぬ様な事になる訳ですよね。」


センセエ2 「そう! 野球の場合はピッチャーが次に投げる球を
        予測しないと間に合わないとか言う人もいるけど、
        当然そういう予測はするとして、
        もしそれがハズレた場合は空振りしたり、
        凡打になったりで終わるんだけど、

        真剣勝負の場合はヤマがハズレたりしたら
        次の打席(?)は無いんだよね。

        まあ、バッティングの世界と真剣で行う斬り合いの世界を
        一緒に並べて考える事は一概には出来ない。

        けれども、打率3割のバッターと言っても
        10回打席に入ったら7回は凡打が三振になる訳だから、
        サムライの世界では10度の真剣勝負の内7回は
        死ぬか大ケガって事で、
        
        現実にはそんな事は有り得ない訳だからね。
        1回死んだらそれまでというワケ。」

ガラシャ1 「そう考えるとサムライ同志の真剣勝負って壮絶な世界ですね!
        よほど死ぬ気でというか、死ぬのを覚悟してやらないと。」


センセイ 「そうだね。っていうか、だからヤマをはって、
        そんな一か八かみたいな動き方をしていたら
        命が幾つあっても足りないという事になる訳で、

        負けても明日があるさ!とはいかないでしょ。」

ツルギ1 「でも宮本武蔵なんか、
        60回勝負して1回も負けた事が無いって言っている訳で、
        それが事実だとしたら60回もヤマが当たるという考えはしづらいよね。」


ガラシャ2 「うん、だからそこに何か技術的な秘密があると思うんだけど…。」

センセエ2 「そう! その技術的秘密に近づくっていう事が
        “秘伝”とか“極意”という事につながるんだけど、
        その第一歩が脱力して動くという事なんだよ。

        実際にスポーツ選手でも、
        例えば先程から名前が出ているイチロー選手なんかは、
        他のバッターよりも相当上のレベルで
        そういう身体の使い方をしているワケ。」

                            つづく           ガラシャ4
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[ 2011/03/20 00:00 ] 談話 | TB(-) | CM(-)
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