談話室『和太刀』

~立ち廻りから得られる身体のお得情報!~
◆◆◆お知らせ◆◆◆

和太刀第二回本公演 
『演斗×2』
開催決定!

11月に行われ、ご好評をいただいた和太刀公演が再び! 今回はナント2本立て!
~本来のサムライの動き、武器の扱い方などを
実践解説ショーとして見せる、日本初のエンターテインメント!!!~


2012年6月20日(水)~24日(日)
@ウエストエンドスタジオ

20日(水)19時~【A】
21日(木)19時~【B】
22日(金)14時~【A】/19時~【B】
23日(土)14時~【B】/19時~【A】
24日(日)14時~【A】
※A・B、2Ver.まったく違う内容でお届けします!

チケット料金:前売り→3,000円  当日→3,500円
       中学生以下→1,500円
      ★AB通し券→5,000円
       ※通し券ご予約の方には、前回公演の資料用DVDをもれなくプレゼント
2012年3月3日チケット予約受付開始

PC用→ https://okepi.net/torioki/booking_form.aspx?paid=8202187e-72fb-44a4-b576-e90c530c61c8

携帯用→ https://okepi.net/torioki-m/booking_form.aspx?paid=8202187e-72fb-44a4-b576-e90c530c61c8


※ 談話室「和太刀」別室 コチラ でやってます!
はじめに

 昨今、どれだけ「インターネット社会」が発達し、精神的情報合戦が重要視されようと、
それらを活用する側の我々の身(心)の在り方いかんにより、それらが本当の意味で「
有効活用」され、我々の生活をより快適にさせるものとして生き続けられるかが左右さ
れるのではないでしょうか。

 小難しい言い方をしてしまいましたが、そんな事を心の中に置き、私は殺陣師(時代
劇や現代アクション等に代表される武器や素手の格闘シーンの振付師)という立場か
ら、昔日のサムライ(侍)や日本人全体が持っていた(現代人が失っている身や心にと
って有効な動き)大切な動きを二十数年研究し、それを仕事場や稽古場に活用してき
ました。

 本文ではその様な、一般の方や現在武道を習っているだけではおおよそ知る事が出
来ない身体の動きや精神的作用における情報を、日々の稽古や私生活の出来事から
の「気付き」を踏まえて「気軽な雑談」形式で公開していきたいと思います。


 役者やダンサー、スポーツ選手、介護士の方(あるいはそれを目指している方)、ダイ
エットを目的としている方等、全ては身の在り方や動きについて、今なさっているアプロ
ーチをより深く進めていきたい(あるいは変えたい)方等に、この雑談が少しでも役に立
てばと思います。

 尚、この雑談は、殺陣を基礎として身体の使い方を研究表現する集団である私達『和
太刀』の中から生徒代表として、男性ツルギ君(仮名)1名、女性ガラシャさん(仮名)1名、
指導・主催者センセエ(仮名)1名の3者の会話形式で成り立っていくものです。話は「身
体の使い方」についての日常レベルの事から、昔日の剣豪・宮本武蔵や、新撰組等の
幕末剣士の身体使いにまで及びます。

 私達も研究、発展途上ゆえ、3名の意見、答え、思考はあくまで現時点のものであり、
必ずしも普遍的、絶対的なものでもありません。

 しかしそれは昨日のあなたであり、明日のあなたに同調出来るものだと思います。

 どうか頭を楽に、固い気持ちではなく、リラックスしてお読み下さればと願います。


(和太刀 主催  清水 大輔)

第89回 「俵藤太(たわらとうた)のムカデ伝説でござる!!」 の巻


ガラシャさん
ガラシャ1
「前回の『弁慶編』はとても勉強になりました。弁慶が架空の人物か実在したかという単純な話ではなく、
実在したという観点からみても、牛若丸(義経)との関わりや活躍ぶりが、読み物だったり古典芸能(能や歌舞伎)の影響でどんどん変わっていっちゃって…。
でもこういうのって、元々あった事実をねじ曲げたり脚色したりということではないですからね。」


センセエ
センセエ2
「そうだよね。元々弁慶という人物自体が存在も含めて謎に包まれているわけだからね。」


ツルギくん
ツルギ1
「それにしても、牛若丸との勝負の場所が『京の五条の橋の上~♪』じゃなかった(御伽草子からの脚色で、御伽草子は室町から江戸時代にかけて成立した)なんて。」



センセエ2
「だからね、我々も『昔からあるからそうなんだろう。』なんてザックリとした考え方じゃダメだよね。
想像するという事だよ。だって今アニメや小説や漫画だって、脚色したつもりになっていたって、牛若VS弁慶はそもそも五条大橋だっていうところからスタートしちゃっているわけでしょ。」


ツルギ1
「ああ、そうですね。それ自体が元々脚色だという点に立っている人は少ないですもんね。」



センセエ2
「そういう事。」


ガラシャ1
「で、センセエ、今回は誰に?」



センセエ2
「そうだなあ。義経や弁慶は源平合戦時代の後期の人物だから、ちょっとさかのぼろうか。清盛の時代くらいまで…。藤原秀郷(ふじわらのひでさと)なんてどうかな?」


ツルギ1
「秀郷? 誰ですか? それ。」




ガラシャ1
「俵藤太(たわらのとうた)の事ですよね。百足退治(むかでたいじ)伝説の。」



センセエ2
「さすがガラシャさん。正解です。」


ツルギ1
「あっ。俵藤太という響きはなんか聞いたことあるぞっ。」




ガラシャ1
「瀬田(せた)の橋の上に横たわっている大蛇を俵藤太が怖がらずにまたいだので、大蛇に化身していた龍神が藤太を見込んで三上山(みかみやま)に巣食う大百足(おおむかで)を退治せよといういうんですよね。」



センセエ2
「そう。夜に美しい女性に変身して、藤太のところにやってきて、『私は昼間お会いした大蛇です(実は龍神)。あなたを見込んでお願いがあるのですが…』という具合にね。」


ツルギ1
「なんか面倒くさいっすね。元々は龍神が大蛇に化身していて、それが又美しい女性に変身…?」



センセエ2
「で、藤太が向かった三上山には足が2千~3千本はあり、その全てに松明を巻き付けて、三上山を7巻きする程の大百足(おおむかで)が現れる。」


ツルギ1
「な、なんじゃあそりゃあ~!! コワイ! コワ過ぎるぅ~!!」



センセエ2
「はははは(笑)。で、藤太は矢を射るけどこれが効かない。すると次に藤太は矢尻にツバを吐きかけ、
『南無八幡大菩薩!!』と祈り射ると今度はこれが効き、大百足は退治された。」


ガラシャ1
「で、その後退治したお礼だといって、龍神の女性から、いくら裁っても尽きない巻き絹2つと、思ったとおりに食べ物の出る鍋、米が尽きることの無い俵をもらうんですよね。これが俵藤太といわれたという由縁で。」




  談話イラスト87




センセエ2
「そう。その後龍宮に招かれて、黄金札(こがざね)の太刀、赤銅の鐘を贈られ…。」


ツ 「ちょっ、ちょっ!! ちょっと待って下さい。何か俵藤太伝説って色々な昔話が混ざっていません?
最初に女性が訪ねてきた時は『鶴の恩返し』っぽいし、大百足退治はヤマタノオロチ退治のスサノオっぽいし、
『南無八幡大菩薩!!』といって弓を射るって那須与一(なすのよいち)っぽいし。」




ガラシャ1
「あと前に話に出た頼政の鵺退治にも似ているしね。」




ツルギ1
「ウン、オマケに龍宮ときた!! 浦島伝説かあ!!」



センセエ2
「(笑)。龍の姫を乙姫と呼ぶという話もあるからね。実際に太刀をもらうのは乙姫からではなくて、龍王からなんだけど。で、この龍王の姿なんだけど、髭をたくわえた老人なんだよね。玉手箱を開けた後の浦島がそこにいます(笑)。面白いだろう。」


ガラシャ1
「ツバを矢尻に吐きかけるというのは?」



センセエ2
「ツバは妖怪が苦手にしていたとされているからかなあ。『眉唾(まゆつば)』や『唾打ち(つばうち)』と一緒だね。」


ガラシャ1
「なる程。」



センセエ2
「で、俵藤太は実在の人物としては、藤原秀郷という人で、下野(群馬、栃木県辺り)に勢力を持った武士。
あの平将門(たいらのまさかど)の乱で、平貞盛と一緒に将門を討ったことで有名なんだ。」


ガラシャ1
「頼政の鵺退治とか、義経の幼少時の牛若丸伝説とか、坂田金時(さかたのきんとき)の“金太郎さん”みたいに、有名武将にかなり(今の感覚で)SF的オプションストーリーがつくのって、何か共通していて面白いですよね。」




ツルギ1
「そうか。頼光の酒吞童子伝説もそうだもんなあ。」



センセエ2
「だろう? ただ秀郷は平将門(たいらのまさかど)討伐の際には、直接将門に矢を打ち込んだとも言われているんだよ。」





                     つづく     ツルギ4
[ 2012/05/20 00:00 ] 談話 | TB(-) | CM(-)

第88回 「弁慶の名場面の脚色の秘密にござる!!」 の巻

ツルギくん
ツルギ1
「前回までの展開はちょっと驚きですね。なんせ伝説の妖怪鵺(ぬえ)の話にまでなっちゃって…。
鵺とかって実在したかどうか…っていうか、ほぼ実在した可能性の無いものまで掘り下げちゃうとは…。」



ガラシャさん
ガラシャ1
「でもそれでいいのよ。私達表現者はそういう伝説的なものまで表現の対象になるわけだから。
一つの題材でそこからどれだけ色んな意味で広げていけるかという話で…。
ね、センセエ。だってこれは学校の歴史の勉強ではないんだもの。」



センセエ
センセエ2
「その通りだね。ガラシャさん、ステキです。史実として知っておく事は大切だけどね。
でもボクらは当たり前だけど実際にその時代には生きていないワケだからさ、何がホントで何がウソかなんて誰にもわからない。
例えば今の人達が歴史的に『これはホントなんじゃないか。』と思っている事でも、後に作られた事だって多い。
そうだなあ…ちょうど『源平の合戦』当たりの人物を扱っているから…あ、武蔵坊弁慶とかね!」


ツルギ1
「あ、なる程。弁慶が実在の人物かどうかという話ですね。
ホントは弁慶なる人物は存在していなくて、義経のまわりの護衛をしていた人物にそういうモデルになった人がいたんだとか。それならボクも知っています。」




ガラシャ1
「私も。『平家物語』とかにも、身の丈七尺で鎧をまとった大男が、白柄の薙刀をついて大眼をかっと見開いてあたりをねめまわし、なんて描写があるけど、これは『叡山(えいざん)の悪僧、祐慶(ゆうけい)』という人だものね。」



センセエ2
「よく知っているね。でもね、そういう事じゃなくて、『武蔵坊弁慶』なる人物が実際にいたと仮定し、義経を護衛しながら活躍したと仮定しても、今の人が誰でも知っているような活躍ぶりと、『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』や『義経記(ぎけいき)』にのっているものとは違ってきているんだ。それが面白い。」   


ガラシャ1
「例えば?」



センセエ2
「そうだなあ。牛若丸(義経)と弁慶の戦いが『京の五条の橋の上』になったのは、後世に御伽草子(おとぎぞうし)の中でそうなったんであってね。」


ツルギ2
「エッ!? ち、違うんですか!?」



センセエ2
「ウン。『義経記』では、弁慶は母親の胎内に18ヵ月とどまり、生まれた時は2、3歳児程もあり、歯も生えそろった異形の人物で、幼少の頃父に疎まれて殺されかけたところを叔母に助けられ、『鬼若(おにわか)』と名付けられた。6歳で疱瘡(ほうそう)を病んでいっそう醜くなってしまい、預けられた先々でも心まで病んでしまったのか、乱暴の限りを尽くして嫌われ者になる。」


ツルギ2
「お、おやまあ…。何と複雑な…。」



センセエ2
「そのうち自分から頭をそって『武蔵坊弁慶』と名乗り、諸国をめぐって播磨の書写山(しょしゃざん)に入り、ここでは真面目に修行した。ところが先輩僧のイジメにあい、ブチ切れて大暴れ。その際火事がおきて全山が燃えてしまう。
で、悪名高くなってしまった弁慶は、太刀1000本を集めるという願を立てて、京の町で夜な夜な大暴れ。999本を奪ったところで牛若丸に出会う。」


ツルギ1
「なあんだ。やっぱり、いいんじゃないですか。それがボクも認識している牛若丸と弁慶の戦いですよ。」



センセエ2
「イヤ、彼らは2回戦っているんだ。1度目は天神から堀川通りを下ったあたり。
笛の音と一緒に暁(あかつき)の薄明かりの中に黄金の太刀を佩いた若者が現れる。弁慶はチョロイと思って斬りかかるが、若者は弁慶の胸を蹴ってひらりひらりとかわし、弁慶がたじたじになる。」


ツルギ2
「あ、ありゃ!? 展開は同じなのに…。で、2回目っていうのは?」



センセエ2
「2回目は清水寺の舞台だよ。」


ツルギ1
「清水…の…舞台って、あの?」



  談話イラスト86



センセエ2
「そうだよ。勝負を見ているのは参詣の人達。『稚児が勝つか、法師が勝つか。』と騒ぎ立てる。
で、そんな中、2人は激しく打ち合い、ついに弁慶が敗れる。すると弁慶は『これも前世からのつながりだ。』と言って従者(牛若丸の)になるというわけ。」


ツルギ1
「ヘエエ~! 『名勝負数え唄』といったところですね~。」



センセエ2
「ただこのストーリー展開の中でもその後はあまり目立った活躍はしない。文治(ぶんじ)三年に追われる身となった義経が、山伏に変装して都を発つというのは同じだけどね。で、この時弁慶を筆頭にして従った家来、つまり同行者は16人。
この中には義経の北の方、久我大臣の姫(くがのおおいのひめ)も稚児姿で同行している。それが『安宅(あたか)』という謡曲の中では同行者11人。歌舞伎の名作『勧進帳』では女気もなく四天王と弁慶の5人になったんだ。」


ガラシャ1
「うわあ。16人も同行者がいたなんて、逆に驚きです。」



センセエ2
「で、北行して逃げている時、金津(かなつ)の上野で、加賀国の住人、井上左衛門という人が武士の情けで見逃す。如意(にょい)の渡しでは船頭に見咎められた義経を弁慶がとっさに扇で打ちまくり、疑念を晴らした。
この後弁慶は『いくらかばうためとはいえ、ご主人様を打ちすえた罪がおそろしい。許してくだされ。』と伏し転んで泣く。それを見た義経一行も泣き…。」


ツルギ1
「ちょ、ちょっとそれってもしや…!」




ガラシャ1
「勧進帳だわ。じゃあ……。」



センセエ2
「そう。見せ物として多分この2つのエピソードが合わさっている。見逃してくれた井上左衛門という人が富樫(とがし)左衛門になったという事だね。」


ガラシャ1
「何か『北へ逃れてジンギスカン。』という話がいくら何でもそれはないと思っていたんですけど、元々それまでの名場面も、転化されたものだったんですね!」








                     つづく     ガラシャ3
[ 2012/05/16 00:00 ] 談話 | TB(-) | CM(-)
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